植物などの花、葉、樹、根や付着する虫に潜んでいる色素を抽出した天然染料を使用する古から続く染色法。

1つの植物の中に存在するさまざまな色素から複雑な色が染まり、それは生命の豊かさや優しさをも感じることができます。
また、植物によっては薬効もありそれぞれ合成染料には無い魅力を持つ。 
 
合成染料が登場する160年ほど前までは、糸や布地を染める際は天然染料、顔料を使用するほかありませんでしたが、現在では殆どが合成染料が占めており天然染料は置き去られてしまいました。
天然染料は色が移ろいやすいが大切に使い、適切にお洗濯することで長持ちして、愛着も湧いていただけると思います。
大量生産、大量消費が終焉を迎えつつある今こそ、着古した着物や浴衣を雑巾へ拵えボロになるまで使用した昔の様に、物を大事に使っていく事が大切ではないかと感じています。厳しさと不便な事の中にも豊かさがあるのではないでしょうか。
 
また近年は、低エネルギーで染まる植物染料や廃棄される野菜や資源などを利用した染料なども開発されており、今後は環境へ配慮した染技法が必要になってきます。古来の知恵と現代の科学、そして自然が調和する社会の実現にも、天然染料は一役買ってくれることと考えております。