藍染のきっかけ
藍染を始めたきっかけはCBNの藍染講義に参加した事から始まります。その時の講義は藍の良さ、効能だけではなく、衣の起源や思想などロマンあふれる講義でした。
綿には抗菌作用が無いが藍と出会うと繊維が強くなり、抗菌作用がある繊維になった。江戸時代は8割が農民だったこともあり、虫よけ、紫外線、農作業着として強度が上がり、抗菌作用、紫外線防止、防虫や防蛇などを併せ持つスーパー繊維になった。そして、綿も藍も爆発的に生産量が増え日本中で藍を身にまとっていた。
西洋は色を分析してきたが日本は色に「色即是空」の思想を持っていたなど。とても心に響き、藍の魅力を感じて自分もやってみたいという気持ちになりました。
それから実際に蓼藍を栽培したり、蒅、樫木灰汁、ふすま、貝灰を使い発酵させて藍を建てました。中々発酵しなくて失敗も重ねましたが、眠っていた藍の微生物からほんのり青が染めれた時は嬉しかったです。発酵建てなので藍液を良い状態で維持するのは難しいですが毎日様子を見たり、染めたりしていると少しずつ藍の声が聞こえるような気がしています。生きている染料を育てるというのが新鮮で楽しいのです。
合成藍(合成インジゴピュア)やインド藍の登場で藍染業界はとても混沌としてしまった印象があります。今現在も。
合成藍が悪いとは思いません。ジーンズなどの合成インジゴ染は美しい色落を楽しむことが出来ます。ですが今現在の藍染=合成藍というのは違和感を感じます。
実体験として以前購入した藍染手ぬぐいが合成藍だった時は、残念な気持ちになりました。その当時は藍染といったら天然染料だと思っていました。やはり藍染=天然藍になって欲しいです。
昨今の「地球環境に良い事を」という世界的な大きな流れはとても良いと思います。藍染は日本国内で藍を栽培出来て、染めた後は土に還し循環することが出来る。藍染はまだまだ身近には無いものなので、昔の様に藍や天然染料が再び身近な物になる事を祈っています。
天然染料から合成染料へ、手染めから機械プリントへ。そして今、染織業界にまた大きな転換期が訪れてているのかもしれません。